6月7日21:30追記
投稿初出時に一部誤った情報がございました。お詫びの上、記事本文につきましては修正させていただきます。



ライブ観戦記で予告した解説記事はこちらです。

さて5/18に突如としてTwitterアカウントが開設され、6/1にその全容が明らかになったランティスのアニソン合唱プロジェクトで「ChoieL (クワエル) 」。



このブログでもかつてから合唱をやっていたと公言していた私も、この発表には大変驚かされTLで暴れています笑
しかし選ばれた曲が分かっている人でも、合唱をやっていない人で無ければこのプロジェクトにはピンと来ないと思います。では何がすごいのか、なぜここまで驚いているのか、今回はそこを解説していきたいと思います。
なおステマやダイマのような記事ですが、私は一切このプロジェクトとは関わっていません。というか関われるなら、参考動画の収録側で歌いたかったし。また私は東京在住で主に高校や大学の学生合唱の界隈にいるためそれ以外にはあまり詳しくないため、その点に関してはご了承ください。

①新しく合唱コンクールができる!

これまで全国的な合唱のコンクールと言えば主に、

・NHK全国学校音楽コンクール(通称:Nコン) NHK、全日本音楽研究会と下部組織が主催
・全日本合唱コンクール(通称:朝コン、連盟) 朝日新聞、全日本合唱連盟と下部組織が主催

この2つが代表的でした。このうちNコンは小学校、中学校、高校の部のみと名前の通り学生向けのコンクール。朝コンは小学校、中学校、高校に加えて大学・職場・一般部門があります。どちらのコンクールも課題曲と自由曲両方の演奏を行い、Nコンの課題曲は毎年話題のアーティストや作家などを作詞や作曲で起用して書下ろした新曲が課題曲となります。中学校の部で新曲提供されたアーティストが後日アーティスト名義としてリリースされるので、そのことでも話題になっていますよね。他方朝コンの課題曲は各声4曲ずつ収められた課題曲集から1曲選ぶことととなっています。ちなみに私の中学、高校時代は共にNコンのみ出場しており、朝コンは出場したことがありません。なお他にも合唱系コンクールとして、こども音楽コンクール(TBS ラジオ、TBS ホールディングスと各ネット局が主催/小学中学校のみ)や声楽アンサンブルコンテスト(各道府県・地域支部合唱連盟(全国大会は福島県、福島県教育委員会、声楽アンサンブルコンテスト全国大会実行委員会)が主催)、東京春のコーラスコンテスト(朝日新聞、東京都合唱連盟が主催/通称春こん。)などもありますが、何れも今回は割愛します。
このように何れもメディアと合唱連盟、音楽研究会やメディアのみが主催で行うのが主流です。そして中学、高校の合唱部をはじめとするコンクールに出場する多くの合唱団は、夏以降順次都道府県コンクールが行われるNコンや朝コンに向けて活動するのが年間サイクルとなっています。

そんな中、レーベル会社(親会社はゲーム会社)であるバンダイナムコミュージックライブが単独主催(東京都合唱連盟が後援)でコンクールを行うということは大変画期的なのです。「オンライン合唱コンクール 2022」とオンライン開催ではありますが、コンクールが増えることは合唱団にとっては単純にチャンスになりますし、永続的な開催と合唱界での地位が大きくなれば合唱団の活動サイクルも変わってくることになります。高校野球で言えば春と夏の甲子園、秋の神宮大会、都道府県大会のみの春季大会に加えてもう1つ全国に繋がる大会が増えるようなものです。
ただし今回はショート部門が8月、フル部門が9月に応募のため、Nコンや朝コンの都道府県コンクールと時期が重なります。Nコンや朝コンに出つつ本気で賞を目指すなら都道府県コンクールが終わった後に練習し、フル部門で投稿するのが一番練習時間は取れる?エンジョイ勢向けなのかガチ勢向けなのかイマイチピンきません。

②編曲者も一線級!

前述の大会は無論、校内の合唱コンクールで(Nコン課題曲を除くと)アニソンをはじめJPOPが演奏されない理由は大きく分けて2つあります。1つは需要に対して編曲数が少ない。合唱編曲が少ないことから歌いたいと思っても歌いたい曲が歌えないという場合があります。エレヴァートミュージックというJPOP編曲を多く発売している出版社があり、私も中高時代には大変重宝しておりました。しかしここで高校以上の合唱ではメジャーな体系である混声4部で編曲されて発売されているのはわずか24曲のみで、多くは混声3部とコンクールでは使用しにくいです。他にもポップスの合唱編曲を行い、混声4部や男声4部などで出版している出版社も多数ありますが、総数に占める割合もそこまで多くありません。


そしてもう1つはポップスでは入賞できないという言説。これに関しては諸説ありますが、私も何度か聞いたことがあります。その理由の1つとして考えられるのは編曲レベルがあると考えられます。というのもポップスの編曲はピンキリなことがあり、私も以前団で歌おうとして団が買った曲の楽譜が体を成しておらずボツになったこともありました。もちろんそれは最悪な場合ですけどね。また合唱コンクールにおいては一定以上の曲の難易度も問われるため、曲が簡単すぎる場合はコンクールに適さないとされてしまいます。自由曲については選曲面も考慮としているコンクールもあり、審査員からの評判が芳しくないのも1つの要因だと考えられます。ちなみに各団体の演奏会や中高の文化祭ではポップスステージがあることもあり、ポップス自体が合唱界隈でメジャーでは無いということでも無いと思いますが、そうしたステージで歌うという認識になっているのも否めないです。

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アニソン合唱プロジェクトChoieL(クワエル)公式HPよりより引用

しかしながら今回のプロジェクトでの編曲者も一線級の作曲家が揃えてられています。1番上の「優しさの理由」の編曲を行った土田先生は前回のNコン高等学校の部の課題曲の作曲を担当しております。最多タイの3曲の編曲担当であった田中先生は今年度のNコン中学校の部の課題曲の編曲をはじめ、数々の編曲を手掛けており合唱界隈では編曲の第一人者という評価も受けています。Mマスのドアラの編曲を行った相澤先生は第80回Nコンの中学校の部課題曲で今や合唱コンクールの定番になっているゆずさんの「友 〜旅立ちの時〜」の編曲を担当しました。この他の先生方も合唱やっている人間にとっては1度は目にしたことがある方ばかりで、このラインナップから本当にすごいプロジェクト、ランティスも本気でやっているのだなと感じました。どれくらいすごいメンバーなのか例えると、電音部とか他社だけどIDOLY PRIDEの作曲家陣とかと同じくらい
加えて混声曲は全て混声4部であり、特に高校以上や社会人合唱団などへの実用性を考えられていますね。

また合唱映像についても実力のある合唱団が参加していますね。

最初に公開された「優しさの理由」を歌った都立小金井北高校さんは、今年の春こん。で金賞受賞しNコン都本選3大会連続出場と勢いがある団体です。Nコン都本選がどれだけ難しいかといいますと、毎年65校ほどが参加する予選から15校のみしか進めません。そして近年の東京高校合唱界隈は女声合唱が多数派を占めており、混声での入賞は難しくなっています(昨年のNコン都本選で混声は3校のみ、朝コン(AB通じて)で入賞した11校中混声は3校のみ)。ここは東京の高校合唱で混声やってきた人間としては強調したい。市立松戸高校さんは昨年度の関東アンコンで金賞を受賞し、全国出場も決定していました(3月に福島で行われる予定だった全国大会は地震の影響により中止)。3年前の朝コンでは関東大会金賞を受賞し、千葉県内も高校でも屈指の実力を誇ります。ちなみにNコンの場合東京の次は関東甲信越ブロックですが、朝コンの場合は東京だけでブッロク支部となっており、関東大会は茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・新潟・山梨・静岡の9県の代表が参加しています。

大学合唱団では毎年Nコンの高等学校の部男声版の参考音源を担当する早稲田のコール・フリューゲルさんをはじめ混声六連などで活躍する慶應の楽友会さん、昨年度朝コン東京大会ユースの部で2位金賞の中大こだま会さん、昨年度朝コン東京大会ユースの部3位銀賞、今春より早慶女声ジョイコンを開始した早稲女さんと何れも伝統のある団体が参加しています。楽友会さんの「もってけ!セーラーふく」は聴け

社会人合唱団は2団体が参加。Nova Animaさんはこのプロジェクトの企画監修とコンクール審査員を務める三好草平先生が指揮している活動2年目の団体です。初出場だった今年の春こん。で銅賞を受賞しています。春こん。は他のコンクールとは異なり、各審査員が得点を付ける絶対評価制で上位の賞が出ないこともあります。所定の得点に満たないと入賞できないため、なかなか賞が取りにくいのですよね。合唱団 織声さんは早見沙織さんの楽曲の合唱をきっかけの成立された合唱団です。男声の中音部の歌い方が好みです。

加えて書くと、レーベル会社が直接楽譜を出してくれるのは権利的に非常にありがたいです。私の知り合いにも編曲ができる方がいますが、そうした個人が合唱編曲しても権利的に公で演奏することは難しいです。著作権法第27条「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する」とあり、許諾が無いと原則として編曲はできません。そういった状況の中で権利関係が非常に分かりやすい公式が出すことは、トラブル回避になります。但し他方で公式が編曲を行うということは、ネット上で公開されている無許可の合唱編曲に対する取り締まりを強化していく可能性もあります。

③この時期に合唱へフォーカスが当たること

何よりもこれに尽きますね。
Twitterにも書きましたが合唱界隈、今本当に厳しいんです。対面で練習することも制限され、飛沫が伴うことから対面での練習や演奏会の再開しても厳しい条件の下で活動しています。忘れられているかもしれませんが、今年の2月になっても合唱は文科省から名指しで授業で行うなと言われていたのですよ。そのため演奏会も練習も勧誘もままならずほとんどの合唱団で団員が減少し、解散や活動を休止する合唱団も少なくありません。私が所属する団でも団員数が減っており歌唱の面ではギリギリ保てていますが、演奏会などに関わる仕事は既に回せない状態になっています。
そのためこのような状況でバンダイナムコという大企業がこうしたコンクールを行ってくれることは、合唱の社会的な地位向上に繋がると思います。これで作品や楽曲のファンを中心に歌ってみようと合唱人口が増える可能性があっても、ネット上の反応数からするに特に学生団体の場合は直接的に合唱団への入団数が増えるとは現時点ではあまり考えにくいです。しかしながら合唱の活動に対する目は、こうした働きかけや露出の増加でだんだんと元に戻ってくるのではないかなと思います。そのきっかけになってくれる場を用意してくれたことは大変ありがたいです。

多分ですけど、ユーフォに陶酔しミリPになり普段からランティスの楽曲を聴いているからこそ、ここまで賛同できるのだと思います。多分ただ合唱してるだけだったらスルーしてたと思う。ましてキャストがリモートで録った手作りのThank You!とかMTW11&12のリリイベの時の前説時に宣言下で武道館イベントが中止になりながらもリリイベだけは開催に漕ぎ着けたこととかを見てきた訳ですから、現バンダイナムコライブミュージックがどれだけ苦労してきたか、どれだけリアルイベントの開催に対して熱意を持っているかは想像に難くないです。リアルのコンクール/ライブに戻したいのは合唱界隈もアニソンライブ界隈もカワラナイモノだと思います。


バンダイナムコライブミュージックさんにお願いしたいこと。それはこのプロジェクトとコンクールを一過性でなく恒例行事にしてもらうことです。それが「いつかはアニソンが合唱のスタンダードナンバーとして愛される、そんな未来」というプロジェクトの目標に繋がるでしょうし、何より歌える場が用意されていることが歌い手にとってはありがたいのです。また毎年コンクールがあるのであれば、合唱編曲される曲もどんどん増えていきます。今回は10曲もあり、毎年10曲なんてできるのと思ってしまいます。しかしミリオンライブの発表楽曲だけで既に300近くありますから、単純計算だとミリだけで30年くらい持ちます。合唱に合う合わないもありますけどね。
個人的に合唱で聴きたいのは既に合唱になっているミリ女校歌。Starry MelodyやSTANDING ALIVEなんかもいいですね。Flyers!!!をステージで合唱できたら歌いながら泣いちゃうでしょうね。「スポットライトを浴びて 目覚めるとき さなぎが蝶になるように 私は私になる」「あなたに届けたい歌がある」ですよ。


音楽やっている人間、みんなFlyers!!!聴いて
ユーフォの曲もみんな歌いたい。ランティスだからウマ娘楽曲も実現するかも?後はMの曲を男声でやってみたいですね。上田真樹先生や信長貴富先生編曲のアニソンというのも歌ってみたいです。

勿論継続的な開催には合唱界側の参加数や盛り上がりも不可欠。私も自分の所属している団の有志で投稿したいですね。団の演奏会の音取りや練習もあるため全く進んでいませんが、音が取れたらThank Youの多重録音は上げるつもりです。

こうつらつらと書いてきましたが、まだまだプロジェクトとして発展途上でしょう。これを軌道に載せるも失敗に終わらすのも私たちの手にあると思います。私たちが歌い手で私たちプロデューサーですよ。本気でプロデュースがしてみたいなら、自分の演奏をプロデュースしてみましょうよ。これまで合唱や音楽をやってこなかった、アニソンにしか興味ないという人にこそ是非とも参加してもらいたいと何の力も無い1合唱人ながらそう思います。

以上です。